こわれたおもちゃをだきあげて

この国の秩序らしきものは一般国民の「積極的に知ろうとしない態度」によって保たれている。 メディアは国民の「積極的に知ろうとしない態度」につけこんでマインドコントロールをしている……

昨日「太田省吾TRIBUTE」と題された三本の短編を観た。表現者の年齢とすれば老いも若きも寄ってたかって太田省吾さんのホンに挑み、味わい尽くすという試み。金沢の新人類人猿という劇団が催した、ささやかな、そして立派な演劇フェスです。四本用意されている作品の内、仕事の都合で自分はそのうちの三本までしか観劇がかなわず、ここでその全体像を把握できないのに口に挙げてしまうのはいかがなものかという気もするのですが。
当日券で行くかと決めていたのですが、まぁ、なんとかAプロの会に前売りで滑り込めたのでよかった。

 劇団帆嶋(ほとり/大阪)『なにもかもなくしてみるその前に』は、弱冠22歳の若者が演出する太田省吾なのですが、「その時」を想う心は多重に時空をまたぎ、多分この瞬間にも予感し懺悔し後悔し弁護し納得し・・・老いの風景を、酷な風景にも、劇な風景にもよめる。そこは囲い込まない。主語がかなり廃され、ほとんど門外漢には迷宮のセリフ達なのだろうと想われる劇中の文脈の中から、全体像に気づきかけてきたかと思った時に、闇に消える。人生とはそんなものなのかも知れないが、そこに味わいを見つけ出そうという精神性があると思う。老獪である。近畿大学にみに行きたい気がします。

 続いてグループGOKAN(名古屋)『空気と月と生きもの』も劇団帆嶋のそれをより深化させ、深ければ深いほどクルリと回って人の感情を軽やかにゆさぶる。日常を振り返ると、そこに発見が伴うことの幸せを思い起こさせてくれる。二人の俳優の質の高さは、口に出すのがおこがましいほどの超絶技巧の名人レベルです。
 芸の質としてある高さに手を付けると一定のコミューンを形成してしまいがちで、それこそが「界」ということなのでしょうが。それは安住の地であり、羨望でもあるわけですが、同時にアンタッチャブルなモノに成り果てる可能性もあり結果、棚の上置かれてしまい込まれてしまうようにも思えます。この二人はそれを注意深く、嗅ぎ分け孤高を気取ることもなく冷静に距離はかる活動を行っているのだと拝察いたしました。その血があるからこの金沢の地で催される太田省吾さんの仕事の追憶を手繰る作業をしにきたのだろう、と想ってみる。そう想いたくなるほど、彼らは一期一会を楽しんでいた。その距離感がわかっているものの至芸。手練れな感じがします。

 劇団新人類人猿(金沢)『歪んだ肖像』は、ドラマ工房から場所を移しアート工房へ。客も移動です。
 プラスチックローズという太田省吾さんの作品を解体再構築というか、テキストの特徴的なところだけを抽出し、現代・近未来の印象に置き換えるというものです。スロー&クイックな儚げな人の動き。中心を外す配置。オブジェの使い方などスタイリッシュ。おそらくゲストへの配慮なのだろうと思われますが、この作品だけ少し短い。すこし奥ゆかしいというか勿体ないかも知れない。それが金沢らしいというかなんというかなのだけれども。ただその分、単純化せざるを得なくなったのかも知れないと邪推します。この地の演劇ファイルを気取るもののもつ明後日を向きすぎている感覚というか、ほとんどどこを観ているのかと疑いたくなるような時代感覚をもつものに対しても、しっかりと今の時代の持つ空気を伝える事には寄与していたと思われます。故天野祐吉氏の言葉に「CMで伝えられる事なんてせいぜい一つしかない」という言葉があります。その意味で極めて戦略的な3本目だったのかも知れません。
 「空気」ともうしましたが、戦前戦中もおそらくこういう空気だったのだろうと思います。
戦争という商売に参加してハデに儲けたい連中と、それを易々とゆるし唯々諾々と従わざるを得なくなる曳かれ者に分断されていく「ザマ」。この内臓がよじれていくようなザマを観る、どこか遠いところを見る目で終始描かれる状況。 目は遠くを、身体は引き裂かれ、もたれ掛かり、頼りなげだ。 この目さえもなくなった時が、恐ろしい。

アフタートーク 西堂行人(劇評家)の話、維新派:故松本雄吉氏の仕事や
故蜷川幸雄氏の仕事の喪失感から、故太田省吾氏のTextとの金沢での邂逅のことなど、柔和な氏の表情からは想像できない熱い言葉を聞けました。

色々と、捨てたものではないなと、思うことができました。

「雨あがる」という映画を思いだしたのでやぶにらみでリンクを

お役立ち情報の杜(もり)さま

お役立ち情報の杜(もり)
【雨あがる】現代に失われつつある優しさを表現した映画を紹介
http://useful-info.com/introduce-movie-ameagaru





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