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懐かしくもあり、純でもあり・・・演劇集団ROUGH 『3×6≠サーフィン』
ふらりと入った芝居小屋の空気感

東京へはよく芝居小屋や美術館へ行った。
今もたまに出かけるけれど、以前ほどの元気もないので行く回数はめっきり減った。
ほとんど探検をしにいく感じで、チケット予約などせず、思いついたらポーンと行って3本から4本固め観をしてしまう。 当然、演目もそうで、だいたいこれを見ようと決めているのは一公演くらいで、現地についたら「並ぶ」。 当日の立ち見で観てくる。 これが自分の中の「粋」。
 立ち見席に相当たらなかったら・・・それはそれで今回は縁が無かったんだと引き受ける。 違う芝居小屋を探す。 実際、自分の2人前で「本日の立ち見のお客様ここまでデース。申し訳ございません。また次の機会にお越しください」って切られた事もあるし、自分がその最後の立ち見客に滑り込めた事もある。 そんないきあたりバッタリな弾丸観劇ツアー。 期待していたものが「大外れ」の時もあれば、思わぬ原石に相当たる事もある。 そんな無駄遣いを楽しんでいるっていうかなんなんだろこれ。 だから観劇は基本的に一人でいく。

金沢学院大学 演劇集団ROUGHを観に金沢市民芸術村へ。

ホントはここ金沢市民芸術村もそういうぶらりと観に行くのに都合のいい場所のはずなんだけど、ちょっと違う感じがしていた。地元民だからだろうか。よくわからないけど。ちょっと足が向きにくい感じがあった。

以前タクシーに乗って運転手さんに金沢市民芸術村の事を話に振ったとき「ああ、大和町の、紡績工場跡ですよね。あそこもなんだかよくわからないですね。なんかやってるみたいですけど」「好きな人が好きにやってるんじゃないですか?関係ないですけど。」というのを何度か聞いた。
うーん、そうなんだよなぁ。全部が全部そんなのではないとは思うけど、・・・そうなんだぁ。そうかぁ。
・・・どうもこういう言葉を聞いてしまうと「街との接点が足りない、もっと大衆受けすることをしないと」とか「芸術村はおわった、もっと別の切り口を」とか「そもそもこの街の人に文化のことを云々できるのか?」とか、向こうっ気がむくむくとしてくる。 散々無駄づかいして、そこに落ちてきていた「予算」が無くなってきた途端、居なくなった文化破落戸のことを思う。ペテンだったなあれは。

そんなこんなで「行政」が演劇人に歩み寄り、演劇人が行政と協力してより良い演劇文化行政のあり方を探ってきたはずの・・・と考え出してしまうので、ここが「重い」「めんどくさい」「足が向かない」ことになる所以なのかも知れない。

 さて、ROUGHの演目は「3×6≠サーフィン」(サブロク≠サーフィン)。オリジナル作品。

 なんちゅうか、この作品、初めて観るのに「懐かしい」。っていうか、この金沢学院大学の活動の雰囲気そのものが懐かしく、心癒やされるものがある。 当事者たちはそれこそ眼前の目標で一杯一杯ってところもあるので必死だろうけど……観客としてはそれを想う。 

台本のことや演出の事、出演者の事、それぞれがまさに無手勝流で、そういうことに手慣れたものの手際からは少し遠く、むしろ、良き「学生」、良き「アマチュア」の香りがある。 例の東京で行った当日、ふらりと入った芝居小屋の空気感がそこはかとなく漂う。
 それはなんだろう。 自分の目指しているところにも少し重なるところがあるのだけれど、「掛け値の無さ」とでも表現すれば良いのか。 この一瞬一瞬はまさに一期一会で、2度と巡ってこない儚さが尊い。 離れ業をキメるかのような、それもROUGH関係者全員で乗り切るのだっていう懸命さがこの時空を劇空間に変えている。 映画「シックスセンス」や「ゴースト」「シャイニング」などへのオマージュを遠くに感じつつ、桑田佳祐に代表される日本の音楽の歌詞世界を大切にしている。 何より、これらの作劇上の雰囲気の上に載せこの作品で最も大事にしているのは、今や国民的マンガとなってしまった「ONE-PIECE」にも通じる「仲間」や「家族」への憧憬であることを感じる。 そこには「啓蒙」とか「説教」とかではなく、既存の世界感や規約などがんじがらめに絡め取ってくる旧秩序に対する「疑い」を、それこそバッサリと「仲間を信じる」ということと「愛」の二刀流で、斬って見せてくれる。

技術的には音響の音量と俳優の生声の音圧差がちょっと厳しくて、単純にセリフが聞き取れないシーンもあったけれど、誠実に練習を重ねた演技と全員の意識が一点に集中しブレていないこともあり、観客は芝居を観る中で意味内容を補完していく事が出来る。
全体的に、スタッフワークにそつが無く、照明、音響、舞台装置、小道具など細部までよく考えてあり、またよく作ってある。
学生演劇としては充分に良いものに仕上がっていると思う。

何よりROUGHの公演活動に対する姿勢や努力こそ評価されてしかるべきものがある。
大勢で戯れる経験の少ない子供時代。もうそんな世代が社会へ羽ばたきだしている。
「環境」がますます「外で誰かと遊ぶ事」を阻害する。
けっして彼ら自身が決めたわけではない「環境」によって囲い込まれ、規定されていく中、彼らは、その失った時間を取り戻す勢いで部活で「戯れる」。 懸命に「この場」を信じて演劇という絵空事を仕組む。 努力を重ね、工夫をし、懸命に戯れている。
その「戯れる」時間と場所を維持し、さらにはキャンパス内に留まらず拡張しようとしている。

これは素晴らしい事だと思う。
もっともっと戯れてほしい、あきれるくらいラフに冒険をして仲間を発見して欲しい。

かつて自分が観た、東京でふらりと入った芝居小屋で観る、観た事も無い劇団が催す、決して上手いとは言えないが、心のこもったパフォーマンス。
「へぇー、こんなドラマも成立するのか・・・」と「拾った」感じを発見できる。その時の感覚に近いものを感じた。


ところでこの作品、どうも当初発表していたものとは変わってしまったらしい。
活動していくっていうのは、いろいろあるとは思うけど、公演をちゃんとやりきれるところまで持ってきたのは立派。


演劇集団ROUGH 第13回公演「3×6≠サーフィン」(サブロク≠サーフィン)
【日時】 11月26日(土)14:00~/19:00~ /27日(日)14:00~(開場は上演の30分前からです)
【場所】金沢市民芸術村PIT2ドラマ工房
【料金】前売500円 当日800円 (団体割あり)
【脚本・演出】山本由幸×金森大輔
【出演】演劇集団ROUGH
松川正美 川上未由季 宮川恵吏佳 杉木奈未 笹山かんな 井達拓人
[2011/11/27 09:56] | シバイ | page top
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