いいものみたね
金沢はもともとアマチュア演劇……誤解を恐れず呼び方を変えればシロート芝居の盛んな土地。そんなかぶきものを寛容してきた土地。 にわか雨は一年中降るし、冬は寒いし、暗いし、鬱々としつつも、夢をみ遊ぶことをしてきた、どこか見栄っ張りで、でも余裕のある街(と思いたい)。

「Le Petit Prince(星の王子様)」カクテイミュージカル。

スタンリー・ドーネン監督の映画をこよなく愛する自分としては、どうしてもその印象を追ってしまうのだけれども、これはこれでとてもいいものだったといえる音楽劇。立派なミュージカルの舞台。

場所は、金沢市民芸術村パフォーミング・スクエア。

このパフォーミング・スクエアという施設は普段は単なるフロアで段差もなにもなく、いってみればミニ体育館のような殺風景な場所。そこに簡素だがこれで充分な舞台を作り、客席のひな壇を作り、幕をつり、照明を仕込み、PAを仕込みと、よく飾り付けてある。
ちゃんとオケピ作って……バンドがいてライブ演奏をする。ほぼ全曲、生で演奏。
それをバックに(位置関係からだとフロント)歌と踊りとお芝居を舞台上にリリースする。

正直、素人が仕込むには手に余る、というかほとんど無理。
しかも公共の予算が付いていない、自主公演!!。
大変なことです。

これを道楽だと乱暴にひっくくることは簡単だ。

この作品を愛し、リスペクトしているからとはいえ、それを自ら上演してしまうという情熱、モチベーション。作品世界を共有したいというコミュニケーション願望。
その妄想の発露としても、

お客様にでき得る限りの観劇環境を提供し、心意気。

「金」の問題はついてまわるはず。

総制作費3けた万円の数字は覚悟するだろう。

そのうち前払いで発生するものもかなりある。地方在住の素人が一人ン万円~ン十万円のお金を工面して出し合うにしても覚悟がいる。

たとえば練習を積む「稽古場」もどこか「場」を借りているのが当たり前だから、ほんとに「お金」と「時間」を作り出す「心」と「余裕」がないとできることではない。




仮に餅は餅屋で、職人さんに外注をしたとしても、その外注費用は主催する人たち(出演者たち)の持ち出しになる。

最終的に収支トントンか黒字なのかもしれないが企画のスタートからしばらくは持ち出しが必須となるのは想像に難くない。


しかし人は、ただ飯を食い、糞をし、ただ生き、ただ死んでいくものではない。
己の仕事や、生き様や、子供や、趣味などで、表現し、どなた様か存じ上げない誰か他人様のお役に立てたとき、無情の喜びを感じるものだ。

この場合の「お役に立てた」部分について、私は「お客様の心を少しでも捉え、揺らしたこと」と、できる限り慎重に、おいてみようと思う。

 職業パフォーマーはその「心の揺れ」の有り様をほとんどちゃんと計算通りにもっていくことができる人のことをいうのだろう。

アマチュアの場合はそうはいかない。

当然いろいろなことを仕込むのだろうが職業的にやり込んでいる人のようにはできるものではない。

才能もあるだろうし。年齢もあるだろう。

しかし、それでもそのパフォーマンスする姿から愛することができる部分が少しでもこぼれてきていたら、それが千金の価値を持つことがある。

東京は演劇の街だ。演劇文化の中心だ。それはそれはものすごいものがいっぱいある。しかし、ほんとに東京にすご味を感じるのは、駅から少し離れたスーパーの2階の空きスペースでやっているような名もない小劇団のパフォーマンスを当日立ち見でふらっと寄ったとき。

1時間ちょいの一杯飾りの劇のなかに、これはこれで「あり」だなと思えるものがみえたときに、何ともいえない拾った感がある。

これは自分だけが発見しているという感じ。

そのために2時間くらい社会から行方不明になっていてもいいよねと思える。


まだまだ捨てたもんじゃないと思いたい。
[2011/02/01 21:50] | シバイ | page top
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